犬の体は、ほとんどが水とタンパク質で構成されています。筋肉や骨、皮膚や体毛はもちろん、酵素や、新陳代謝をつかさどるホルモン、病気から身を守る抗体なども、すべてその正体はタンパク質。ほかにも体中に栄養素を運んだり、エネルギー源として使われたりと、生きていくために欠かせない重要な働きを担っています。愛犬の食生活や健康を考えるときにも、こうしたタンパク質の知識はきっと役に立つはず。ぜひ知っておきましょう。
●タンパク質は“アミノ酸”のかたまり
タンパク質には、その役割ごとに驚くほどたくさんの種類があります。これは、タンパク質を構成する20種類ほどのアミノ酸がさまざまな配列で結合することで、種類の異なるタンパク質を形成するから。そう、タンパク質はアミノ酸のかたまりなのです。体内に取り込まれたタンパク質は、消化酵素の働きでアミノ酸に分解され、毛細血管から吸収されて全身に運ばれます。そして体内で再びタンパク質を形成し、さまざまな体の働きを担うのです。アミノ酸の中には、体内で合成できる「非必須アミノ酸」と、体内では合成できない「必須アミノ酸」の2種類があります。必須アミノ酸は食物からしか摂取できず、特に欠かせないもの。興味があれば、個々のアミノ酸の働きについて調べてみるのも良いでしょう(表参照)。体内で使われなかったアミノ酸は、肝臓でほかのアミノ酸に合成されるか、窒素が取り除かれエネルギー源として使用されます。タンパク質は体内でムダなく利用されているのです。
●必要なのはどんなとき?
皮膚やツメ、体毛をつくったり、新陳代謝をしたり……、犬は毎日、タンパク質を消費しています。タンパク質が足りなくなると、体毛がパサパサになるだけでなく、食欲が落ちて体重が減り、病気にかかりやすくなります。また、栄養が不足した食事をしていても、タンパク質が優先的にエネルギーとして使われてしまうため、欠乏症を引き起こしてしまうことが。そのため、タンパク質は常に補給する必要があるのです。特にケガをしたときや成長期には、新しい体の組織をつくるためにより多く必要となります。また、妊娠期、授乳期なども同様。こうした大切な時期には、適量のタンパク質をバランスよく与えましょう。気をつけたいのは、必要以上に与えると、かえって悪影響を及ぼすことがあるということ。たとえば、一般的に成長期にはタンパク質をたくさんとらせるのがよい、と言われています。しかし、体内で使われなかったタンパク質は脂肪に変わり肥満のもとになりますし、犬種によっては骨格異常を引き起こすこともあるので、ご注意を。
●病気によっては制限されることも
タンパク質は生きていくために不可欠な栄養素ですが、愛犬の状態によっては制限しなければいけないこともあります。たとえば、腎臓病や肝臓病にかかっている場合。体内でタンパク質を分解するときに出る有害な物質はこれらの臓器で処理されるため、大量のタンパク質の摂取は病気にかかった犬に大きな負担をかけてしまいます。しかし、肝臓を修復するためにもタンパク質は必要ですから、まったくとらない、というわけにはいきません。そこで、病気の場合は質のよいタンパク質を、量を制限してとる必要があるのです。
●“質”の良いものをバランスよく
動物性や植物性など、さまざまなものがあるタンパク質。愛犬が効率的に摂取するためには、どんな食べ物を与えるのが良いのでしょうか?それを考えるうえで大切なのは、タンパク質の“質”。体内で合成できない「必須アミノ酸」がバランスよく豊富に含まれていること、食物からどれだけの栄養分を吸収できるかを示す割合である「消化率」が高いことが重要になります。この点でもっとも高品質なタンパク質 を含んでいる食べ物は、たまごや牛乳。消化率は90〜 95%で、必須アミノ酸も多く含まれています。その次は肉や魚。植物性タンパク質は、大豆などに含まれる質の良いタンパク質以外は、一般的に動物性に比べてアミノ酸のバランスもそれほど良くなく、消化率も70%ほどしかありません。ただし、いくら質の良いタンパク質を含んでいるからといって、たまごや牛乳ばかり与えていては栄養が偏ってしまいますよね。それに、犬によっては乳製品が体質に合わない場合もあります。効率よくタンパク質をとるためには、バランスの良い食事を与えることが大切なのです。
| 必須アミノ酸 | 非必須アミノ酸 |
|---|---|
| アルギニン | アラニン |
| ヒスチジン | アスパラギン |
| イソロイシン | アスパラギン酸 |
| ロイシン | グルタミン |
| リジン | グルタミン酸 |
| メチオニンとシスチン | グリシン |
| フェニルアラニンとチロシン | プロリン |
| スレオニン | セリン |
| トリプトファン | |
| バリン |
注 :
1.シスチンとチロシンは非必須アミノ酸として分類されているが、メチオニンとフェニルアラニンそれぞれの必要量の約50パーセントを供給できます。
2.メチオニンとシスチンは、硫黄を含むアミノ酸。
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