愛犬がいつも食べているごはん。これがどのように消化され吸収されているのか、ご存じですか?口から始まり、胃を通って、大腸まで。みなさんがふだん意識したこともないような、犬の体の内側にご案内します。
●消化は口から始まる
最初に消化作用の始まるところは、そう、口です。犬が食べ物を噛むことは、消化の一番初めの段階。犬の尖った歯は食べ物を裂き、噛み砕くのに適しています。ところが、犬は固い、大きな食べもの以外は丸飲みしてしまうことが多いもの。食べ物の匂いを嗅いだり、口の中に食べ物を入れたりすることで出るだ液が潤滑油の働きをして、食べ物を飲み込みやすくします。
●胃で一時停止?
飲み込んだ食べ物は、蠕動(せんどう)運動という、波のような食道の筋肉の動きで胃に運ばれます。胃には、食べ物をいったん留めて、ある程度消化し、小腸へ届ける働きがあります。
胃ではタンパク質を消化する酵素、その酵素を効率よく働かせる塩酸、酵素や塩酸から胃壁を守る粘液が、食べ物の量や種類によってバランスよく分泌されます。この3つが含まれた液体が、いわゆる胃液。胃の筋肉の運動で、食べ物は胃液とじゅうぶんに混ぜ合わされ、「キームス」というどろっとした乳状の液体に変化しますが、このキームスはすぐに次の小腸に届けられるわけではありません。胃の出口(幽門部)には、括約筋というリング状の調整弁があり、ここで小腸に送り込む量をコントロールしているのです。
●臓器同士の助けあい 小腸の働き
小腸に送られたキームスは、すい臓と肝臓の助けを借りて、ここでもっとも吸収しやすい形にまで分解されながら吸収されます。食べ物の消化の最終段階が、この小腸です。
すい臓からは、タンパク質を消化するプロテアーゼ、炭水化物を消化するアミラーゼ、脂肪を消化するリパーゼといった消化酵素が含まれたすい液が分泌され、小腸に送り込まれたキームスの消化をさらに進め ます。また、これらの酵素が働きやすいように、酸性のキームスを中和してアルカリ性にする働きもあります。
肝臓から分泌される胆汁(たんじゅう)は、脂肪を吸収しやすい形に変えるなど、小腸での消化を助けます。実はこの胆汁が、ウンチの色のもと。キームスはこの時点でほぼ消化が完了します。
もっとも吸収しやすい形にまで栄養素の消化が進むと、腸内の毛細血管やリンパ管から吸収され、門脈という血管を通って肝臓に運ばれて蓄えられます。小腸は全体的に小さい突起物で覆われていて、この突起物のおかげで小腸全体の表面積が増え、効率よく栄養を吸収できるのです。この表面積、なんと小さな部屋の床面積と同じくらいもあるとのこと。
●大腸を通って最後はウンチに
こうした過程を経て栄養は吸収されますが、食べ物に含まれるすべての栄養素が体内に取り込まれるわけではありません。吸収されないまま、ウンチとなってそのまま体外に出てしまう分もあります。食べ物にもともと含まれる栄養が、どれだけ体内に吸収されたかを示す割合を「消化率」といいます。必要な栄養素をとるためには、この「消化率」を意識しなくてはなりません。消化率の高い食べ物ならば少ない量で効率よく栄養を摂取できますが、逆に消化率の低いものはたくさん食べなければいけないのです。たとえば犬の場合、食物繊維が多い野菜類を消化することが苦手。犬にとって野菜類の消化率は低いのです。といっても、最近の研究で食物繊維は犬の健康に役立っていることが分かっています。犬自身は食物繊維を消化できませんが、乳酸菌などの腸内の善玉菌には、食物繊維が欠かせないからです。一方、犬の消化率が高いのは、肉類。ちなみに、草食動物の場合は、犬とは逆に野菜類の消化率が高く、肉類が低くなっています。さて、同じ食べ物でも動物によって消化率が異なってくるのはなぜでしょうか?それは、動物の種類によって消化器官のつくりが異なるから。草食動物は一般的に腸が長く、肉食動物は短いのです。ちなみに犬は雑食ですが、肉を好みますので、ほかの動物と比べてやや腸が短くなっています。
飼い主のみなさんもこのような犬の消化の特徴を理解して、日頃から愛犬にとってバランスのよい栄養補給を心がけましょう。
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